- こい
- I
こい(接尾)〔形容詞型活用〕〔形容詞「濃い」から〕上の語との間に促音が入って「っこい」の形をとることが多い。 名詞・形容詞の語幹などに付いて, その成文・要素が強く感じられる。 その程度・状態がはなはだしいなどの意を表す。II
「油っ~・い」「ひやっ~・い」「まだるっ~・い」「しつ~・い」「ねばっ~・い」「ひとなつっ~・い」
こい【古意】(1)もともとの意義。(2)昔をなつかしむ心。IIIこい【恋】(1)異性に強く惹(ヒ)かれ, 会いたい, ひとりじめにしたい, 一緒になりたいと思う気持ち。「~に落ちる」
(2)古くは, 異性に限らず, 植物・土地・古都・季節・過去の時など, 目の前にない対象を慕う心にいう。「明日香川川淀去らず立つ霧の思ひ過ぐべき~にあらなくに/万葉 325」
~に上下(ジヨウゲ)の差別なし恋愛の情には, 身分や地位などの上下の区別はない。 恋に上下の隔てなし。~は曲者(クセモノ)恋は心を乱し, 理性を失わせる曲者であるの意。「恋といへる曲者, げに~/閑吟集」
~は思案(シアン)の外(ホカ)恋は理性では律しきれない。~は盲目(モウモク)恋は常識や理性を失わせてしまう, の意。~は闇(ヤミ)「恋は盲目」に同じ。IVこい【故意】(1)ことさらにたくらむこと。 わざとすること。「~に負ける」
(2)〔法〕 自分の行為が一定の結果を生ずることを認識していて, あえてその行為をする意思。 刑法上は罪を犯す意思すなわち犯意をいう。⇔ 過失「未必の~」Vこい【濃い】(1)物の濃度・密度が大きい。⇔ 薄い(ア)色が深い。⇔ 淡い「~・い緑」「夕闇が~・い」(イ)味・匂い・化粧などが強い。⇔ 淡い「~・い味つけにする」「ジャスミンの~・い香り」「おしろいが~・い」(ウ)生えているものの密度が高い。「~・いひげ」「髪の毛が~・い」(エ)液状のものについて, 溶けている物質の水に対する割合が大きい。 「小麦粉を~・くとく」「~・い粥(カユ)」(オ)霧やもやなどの濃度が大きい。 「~・いもや」「ガスが~・く立ち込める」
(2)物事の程度が強い。 (ア)何かの様子が強く表れている。「疲労の色が~・い」「敗色が~・い」(イ)可能性の度合が大きい。 「犯罪の疑いが~・い」(ウ)情愛が濃厚である。 「情が~・い」
(3)特に, 紅色・紫色が深い。「かのしるしの扇は, 桜の三重がさねにて, ~・き方に, 霞める月を書きて/源氏(花宴)」
(4)人間関係が密接である。 交わりが深い。「などてかくはひあひがたき紫を心に深く思ひそめけむ, ~・くなりはつまじきにや/源氏(真木柱)」
﹛派生﹜~さ(名)︱慣用︱ 血は水よりも~VIこい【虎威】虎(トラ)が他の獣を恐れさせる威力。 権勢の力。VII「~を張る」
こい【請い・乞い】相手にこいねがうこと。 頼み。VIII「~を入れる」「二人は自分の~に応じて/あめりか物語(荷風)」
こい【鯉】コイ目コイ科コイ属の淡水魚。 普通は全長60センチメートルぐらいになり, 二対の口ひげがある。 野生種はノゴイともいい, 体高が低くてほぼ円筒形で体色は黒褐色。 飼育品種はヤマトゴイ・ドイツゴイ・ニシキゴイなどがあり, 一般に体高がやや高くて側扁し, 色彩や鱗(ウロコ)に変化がある。 日本では古くから食用とされ, 観賞用の品種も多い。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.